バルブソリューション > 技術情報一覧 > 材料による応力腐食割れ

技術情報

材料による応力腐食割れ

一般に応力腐食割れは合金に起こり、純金属にはおこらないといわれている。

しかし、純金属でもごくわずかの不純物が入ると割れるようになる。また合金に

おいても微量成分の添加は応力腐食割れの感受性を増すようである。たとえば

オーステナイト系ステンレス鋼にN,P,Moなどが入ると割れやすくなる。

合金が割れ感受性をもつのは合金成分の組織内での偏析によるもので、とくに

粒界割れのすべては粒界での成分偏析が割れ発生の原因となっている。

さらに格子欠陥が表面に分布しやすい材料では、その表面分布欠陥部に偏析が

起こったりして割れやすくなるといわれており、積層欠陥エネルギーを高めて、

転位の面状分布をさせにくくする合金成分、たとえばNiやCはオーステナイト

系ステンレス鋼の応力腐食割れ抵抗を上昇させる。逆に積層欠陥エネルギーを

低下させる合金成分Nb,Ti,Mo,Nなどの添加は応力腐食割れを起こし

やすくする。オーステナイト相中のフェライト相は、約50%まではその量が

増すほど割れ抵抗が増す。これはフェライトが割れの伝播を妨害するいわゆる

“keying effect”によるもので、この効果を利用した耐応力腐食割れ用のオーステ

ナイト・フェライト二層合金も開発されている。オーステナイト系ステンレス鋼

の溶着金属には、溶接割れ防止の目的で数%のフェライトを含有させている。

このフェライトも上述のことと同じ効果を示して、溶着金属のほうが母材より

応力腐食割れを起こしにくくする。

一覧へ